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初心を思い出す料理本

きのう書いた『絵本からうまれたおいしいレシピ』に出てくる
うさこちゃんのおじいちゃんとおばあちゃんのキャラメルクッキー
レシピにはキャラメルクリームが必要で、その作り方が出ているのですが、
キャラメルクリームだったら、缶入りのコンデンスミルクを、そのまま鍋の中でことこと煮ればできるんだよ
というのを思い出しました。
それはわたしが20年ぐらい前に買った料理本に出ていたレシピで、
上京したばかりのわたしは、銀座の福家書店でたまたま立ち読みしたこの本にすごく心惹かれ、すぐに買って帰ったのでした。
その本は『わたしの保存食ノート』
ずっと読んでいなかったのですが、すぐに取り出せる場所にありました。
本を出す前に、いまも買えるのか、記憶がどれだけあるか、本の名前も完璧に思い出せないままネット書店を見てみたら、なんと今とても人気で、新装版も出ていて、かなり売れているようでした。
この本の著者が書いた他の本『私の洋風料理ノート』


『季節のうた』(エッセイ)


も復刻され、最近は注目度も高いのだとか。
やっぱりスローフードや、ロハスの時代だからでしょうか。
いいえ、この本を支持している方のほとんどは、何十年も前から大切に持ち、使いこなし、ぼろぼろになってしまったという方が多いのです。若い頃にどこかで見て、ずっと覚えていたとか、お母様やおばあさまから贈られたという話もけっこうあります。

この本を書かれた方は、佐藤雅子さんという明治生まれの女性で、元人事院総裁夫人であり、外国生活も結婚前から経験されたことがあるような家柄のご出身です。
嫁ぎ先のお姑さんが、炊事についての躾が厳しく、40年近く仕えてきた中で教わってきた、四季折々の自然を大切にいただく保存食の作り方を記したノートを基に、この本は書かれています。
とかく明治生まれの女性は、家事について厳しく教えられた方が多いのですが、佐藤さんのように洋風のものも和風のものも本格的にこなせる方は、そう多くはいらっしゃらないかと思います。
それもこういった上の階級の方ならではのもので、わたしのような普通の出の人間は、なかなか直接教わることができない貴重な料理が数々出てきます。

この本を改めて読んでみると、思っていたよりも文字も小さく、写真のほとんどはモノクロで、あの時本屋でパラパラ見たとき、思わず引き込まれたものはいったい何だったのか、すぐには気づきませんでした。
ですがけっして読みやすいわけではない大きさの文字が、読んでいるうちにまったく気にならなくなり、佐藤さんの手作り料理が目の前に浮かんでくるような錯覚を覚えるのです。
写真もモノクロだったはずのものが、まるで作っている姿さえ見えてくるかのようにいきいきと感じてしまう。この本の魅力はこれだったんだ、とすぐに分かってきました。

最近の料理本と違い、最初はとっつきにくいんです。レシピが的確に、簡潔に書いてあるわけじゃない。むしろ作っている姿まで見えてきそうなエッセイです。食べる人のことを想い、心をこめ、手をかけて作られた料理の数々が、飛び出してくるように感じてくるんです。そう不思議な料理本です。
佐藤さんの文章は、今ではあまり使われなくなった、かつての美しい日本語が随所に散りばめられています。ほんとうにごく日常的に、さり気なく使っていらっしゃるんです。
この本に出会った当時は、向田邦子さんのエッセイが好きで、与謝野晶子さんのお嫁さんが書かれた『どっきり花嫁の記』という本も好きで、この中に出てくる晶子の好きだった料理にもチャレンジしたことがありました。(この本と料理については後日また書いてみます。)
上京するときに持ってきた本は、赤木春恵さんの『おばあちゃんの家事秘伝』
私の保存食ノートと同じ頃に、赤堀千恵美さんの『秘密の保存食』も買い揃えました。
一人暮らしだったのに、なぜか果実酒を何種類も作っていたり、そういうことに憧れを持っていた頃だったのかな、と思います。今より丁寧に料理していたのかな~
赤堀さんの本は、佐藤さんの時代にはなかった、フリージングという現代の技を使った保存法が実に豊富に紹介されていて、休日にまめに下ごしらえしてフリージングしていたものでした。

そしていまはどうかといえば、佐藤さんの本を読んでいるうちに、顔から火が出る思いがしました。主婦になって初めて読む『私の保存食ノート』
著者の佐藤さんから、やんわりとたしなめられるような気がします。自分だけではなく、随分と周りも時代も忙しく動くようになってしまったのだな、と感じられるこの頃。これが当たり前になっていたのかな。主婦になったというのに、もうちょっと手料理というものが作れないものか、と思ってしまいます。
また、レシピ以上に魅力的な佐藤さんの文章には、ご主人のことを書かれているものがいくつかあるのですが、これがまた学ばされることがひじょうに多いです。
味に口うるさいご主人だったことは、最初の頃は決してありがたくなかったけど、後から思えばとても良かったというのです。その文章は佐藤さん独特のゆったりしたリズムで書かれていて、そういう主人の胃の腑を預かれるかどうかが、主婦の手腕の振るいどころだよ、と教えられている気がしてきます。
なんて書きながらも、ちょっと時間がないと、つい惣菜なんかを買ってきてしまう。その度にこの本を読んでみては、いつか作ってみよう、なんて思っているのです。

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